院長ブログ

2015年2月12日 木曜日

ペースメーカー機能で重症睡眠時無呼吸症がわかる

睡眠時無呼吸症は心血管系疾患と関連し、またペースメーカー植込み患者には多く存在することが報告されている。Defayeらは、ペースメーカー機能にある胸腔インピーダンスセンサー(SAM algorithm, SAM-RDI)を用いて、重症の睡眠時無呼吸症の同定が可能かを検討した。40人のペースメーカー患者のうち、一時間あたりの無呼吸低呼吸指数(AHI)30以上の重症無呼吸症患者が56%と高率に存在していた。重症の無呼吸症は、SAM-RDI20をカットオフポイントして同定することができ、その感度85%、陽性的中率89%、特異度85%であった。

ゆみのコメント:
本研究は、ペースメーカー機能を用いて、非侵襲的に重度の睡眠時無呼吸症のスクリーニングが可能であることを報告した研究である。終夜睡眠検査ではペースメーカー植込み患者の半数以上と高率に重度の無呼吸症患者がみられ、また胸腔インピーダンスを用いた無呼吸のアルゴリズムにてこれらの患者を効率良く同定できた。 睡眠時無呼吸症は発作性心房細動や脳梗塞、心血管系疾患の発症と関連があることは周知のとおりであり、ペースメーカー植込み症例に限定しているが、氷山の一角ではなく、全体をみるに適した非侵襲的スクリニーニングツールを証明することは臨床上意義のある研究である。またペースメーカーという経時的な評価方法を用いて、日内、日間の無呼吸症と心血管系疾患の関連性について、今後の新しい研究報告が待たれる。

引用文献:Defaye P, et al : A pacemaker transthoracic impedance sensor with an advanced algorithm to identify severe sleep apnea: the DREAM European study. Heart Rhythm. 2014;11:842-8

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2015年2月 6日 金曜日

治療抵抗性高血圧患者における睡眠時無呼吸症の割合

降圧剤を用いても血圧コントロール不良な治療抵抗性高血圧は睡眠時無呼吸症(OSA)との関連性をもつことが言われている。本研究の目的は治療抵抗性高血圧患者の大規模コホート研究において、OSAの割合や関連因子を検討することにある。422人の治療抵抗性高血圧患者のうち、無呼吸低呼吸指数(AHI)>5以上のOSA患者は82%、またAHI>15の中等度以上のOSA患者は55%であった。多変量解析にて、治療抵抗性高血圧患者において、高齢、肥満、男性、糖尿病の存在、夜間の収縮期血圧上昇が、OSAと独立した関連因子となった。

ゆみのコメント:
Muxfuldtらは、治療抵抗性高血圧患者において中等度以上のOSAをもつ患者が半数以上いたという報告を大規模コホート研究より示した。横断研究のため、それぞれの因果関係については言及できないが、降圧剤でコントロール不良の高血圧症例において、高齢男性の肥満症例、また24時間血圧測定において夜間の血圧が下がらない、non-dipper typeの症例はOSAの関与を強く疑うことができるという臨床上意義のある研究報告と考える。

引用文献:Muxfeldt ES et al. Prevalence and associated factors of obstructive sleep apnea in patients with resistant hypertension. Am J Hypertens.2014;27:1069-78

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