院長ブログ

2014年1月19日 日曜日

心不全患者における睡眠時無呼吸の心拍出量への影響

睡眠時無呼吸症には、上気道を閉塞する閉塞型睡眠時無呼吸と脳から中枢性に呼吸を停止させる中枢型睡眠時無呼吸の2つのタイプがある。
閉塞型パターンは胸腔内圧の変動をきたし、心臓に負担をかけやすい状況になるが、中枢型パターンは胸腔内圧の変動がないため、心臓には直接的な影響を及ぼさない可能性をもつ。しかしながら、これらを直接的に示した研究はこれまでない。
Yuminoらは、40人の夜間の睡眠ポリソムノグラム検査と同時に非侵襲的心拍出量モニタリングを行い、400回の無呼吸パターンの心拍出量の変化を検討した。その結果、閉塞型パターンは無呼吸中に心拍出量が平均6.8%低下し、一方で中枢型パターンは平均2.6%増加していた。また閉塞型パターンの無呼吸において、どのような患者に心拍出量がより低くなるかを多変量解析にて検討したところ、左室駆出率が低下している症例、無呼吸時間が長い症例、また無呼吸により酸素濃度が低下している症例であることが分かった。

ゆみのコメント:
心不全患者において、上気道が閉塞する閉塞型睡眠時無呼吸が心拍出量を低下させることをヒトで直接的に示したはじめての研究である。この研究結果は、心不全に合併した睡眠時無呼吸への治療意義を示し、また特にどのような患者へ積極的に陽圧呼吸療法の治療導入、そして継続させるかを示す有意義な研究と考える。

引用文献:Yumino D et al. Differing effects of obstructive and central sleep apneas on stroke volume in patients with heart failure. Am J Respir Crit Care Med. 2013;187:433-8


投稿者 ゆみのハートクリニック

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