院長ブログ

2014年4月21日 月曜日

女性の睡眠時無呼吸症と脳・心血管疾患発症との関連

女性の閉塞性睡眠時無呼吸が脳・心血管系疾患発症の
リスクファクターとなるかはいまだ明らかではない。 
Campos-Rodriguezらは、前向き観察研究において、女性の無呼吸症患者の脳梗塞や冠動脈疾患の発症との関連性を検討した。
無呼吸低呼吸指数(AHI)10回/時間未満をコントロール群とし、10回/時間以上を無呼吸症と判断し、
1日4時間以上CPAP使用している群をCPAP治療群、4時間未満のCPAP使用を非治療群と定義した。
967人の無呼吸症が疑われた女性を平均6.8年観察したところ、コントロール群と比較して、非治療無呼吸症群は有意に脳・心血管イベントを発症していた。多変量解析においても、非治療無呼吸症群は有意に脳・心血管イベントを発症し、またCPAP治療群はイベント抑制の傾向を認めていた。女性の睡眠時無呼吸症と発症疾患の内容を更に分析したところ、特に脳梗塞の発症と強い関連性を示していた。

ゆみのコメント:
これまでの報告では、男性において睡眠時無呼吸症と脳心血管系疾患との関連性を認めていたが、女性だけを対象とした観察研究の報告はなかった。一般人口での睡眠時無呼吸症罹患の男女比は2:1と言われているが、実際に睡眠クリニックを受診する男女比は8:2であり、女性の受診率が低いことが言われている。女性においては、日常的に睡眠時無呼吸症に伴う諸症状が困ってないこと、また臨床的に検査や治療意義を示す報告が十分でなかったことが一因と考えられる。
本研究により、女性で無呼吸症をもつことが生活活動度を低下させる脳梗塞や冠動脈疾患発症と関連することが明らかになり、女性の睡眠時無呼吸症のスクリーニングや治療の意義を示すことができる。

引用文献:Campos-Rodriquez F et al. Role of Sleep Apnea and CPAP therapy in the incidence of stroke or coronary heart disease in women. Am J Respir Crit Care Med. 2014 (in press)

投稿者 ゆみのハートクリニック

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