院長ブログ

2014年3月10日 月曜日

高齢者における睡眠時無呼吸症と心血管死のリスク

一般的に閉塞性睡眠時無呼吸症は心血管系疾患による死亡リスクと関連があることが言われている。しかしながら、高齢者において、それが同様にあてはまるかは明らかでなかった。
そこでMartínez-Garcíaらは、1998年から2007年に無呼吸症を疑い睡眠検査を行った65歳以上の患者939名を対象として、平均5.7年の前向き観察研究を行い、無呼吸症と心血管系疾患死亡との関連性を検討した。対象患者を無呼吸の重症度である1時間あたりの無呼吸低呼吸回数(AHI)<15回/時間をコントロール群として、AHI15-29を中等度、AHI>30を重度と判断した。また無呼吸症と診断されCPAP治療を行っている群(CPAPを一晩に4時間以上使用)と未治療群(CPAP4時間未満使用または処方されていない)に分けた。結果として、重症の睡眠時無呼吸症でCPAP未治療群において、心血管系疾患の死亡のリスクと有意に関係していた。

ゆみのコメント:
いびきや日中の眠気で悩んでいる壮中年世代において、睡眠時無呼吸症と高血圧や脳梗塞、心臓病や突然死との関連性は、多くの研究報告により明らかになっている。
超高齢社会を迎える本邦において、高齢者の無呼吸症への治療の意義については、日常臨床上の問題となっている。本研究は、高齢者を対象として、CPAP治療を行わない重症無呼吸症は、無呼吸症がない人と比べると、心血管系疾患による死亡を起こしやすいことを前向き観察研究において明らかにした。この研究結果から、いびきや睡眠中の無呼吸を認める高齢者には、適切な睡眠検査およびCPAP治療の導入が、心血管系疾患による死亡リスクを下げる可能性があることを示している。

引用文献:Martínez-García MA et al. Cardiovascular mortality in obstructive sleep apnea in the elderly: role of long-term continuous positive airway pressure treatment: a prospective observational study. Am J Respir Crit Care Med. 2012;186:909-16.

投稿者 ゆみのハートクリニック

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